平成26年11月号
(第199版)
〜 作業療法士って?  〜
 
迫田病院 吉原

  今回エコーリレー初登場、迫田病院に入職して4年目の作業療法士 吉原季実子です。まずは自己紹介をさせていただきます。出身は福岡の田舎の方で4年前結婚を機に宮崎に参りました。過ごしやすい気候で季節の変わり目にも持病の喘息は出ず、雪もほとんど降らないため安心して生活でき気に入っています。迫田病院から眺める大淀川の素晴らしさに感激し入職させていただきました。4階のリハビリ室で患者さんと過ごすことが多いですが景色や空を眺めているだけで気分転換になり患者様にも好評です。両側が窓になっているので日焼けだけ気になりますが…。

  リハビリテーションには理学療法士・作業療法士・言語聴覚士という資格があり、今回は作業療法士について書かせていただきます。作業療法と聞いてリハビリテーション(以下、リハビリ)とピン!と来る方は病院や施設関係者ではないでしょうか?ご自身やご家族が入院してリハビリを受けたなど関わりが今まで無いと「聞いたこともない名前」と(我々の力不足ですが)認知度の低い職業なのです。
  一応国家資格でこの資格が出来て来年で50年になります。診療報酬改定や介護保険法の制定により10年ほど前から養成校が増えそれに伴い急激に有資格者も増えており珍しい資格ではなくなりました。リハビリというと理学療法のようなバリバリの運動を思い描く方が多いと思いますが、作業療法士とは名前にもあるように「作業」を用いて治療・指導・援助を行い患者さん(対象者さん)がその人らしく生活できるよう支援する職業です。


  例えば、我々が『寝て−寝返りを打ち−目覚まし時計を止め−起きて−眼鏡を取り−洗面して〜』などその方それぞれに流れは違いますが一日が始まります。その活動一つ一つが「作業=仕事、家事、趣味、生活する全てのこと」でその動作の中に細かい身体の動きや今までの癖などがあります。怪我や病気でいつもと違うことをしたり、出来なかったりすると不都合に感じたり生きがいすら感じなくなるようです。身体や精神に障害を持ち生活に困難な事がある場合はどうやったら出来るか、身体機能を評価し、福祉用具や環境面、介護保険の利用など検討しご家族とも話し合って出来るだけご本人様やご家族の希望に近い形で安全に楽しく生活が出来るよういろんな方法を考えます。

  病気の知識や患者様の状態を正しく評価できる能力、伝える力、その他雑学など自分のキャパシティーが広くないといろんな提案が出来ないため常に勉強と心得ていますが……なかなかです。また、他スタッフの方の協力や連携は欠かせません。ざーっと思うままに書いてしまいましたが少し作業療法についてご理解いただけたでしょうか?
  私事ですが待望の第一子を授かり11月の中旬からお休みをいただきます。皆様にはご迷惑をおかけしますが、リハビリテーション部とまた一年後復帰した際はよろしくお願いいたします。


   

 
〜 施設の近況報告 〜
 
サンヒルきよたけ K木
 

  サンヒルきよたけでは、法令に定められる委員会の他に大小さまざまな委員会・部会を設置し、サービスの質の向上や職員のスキルアップに取り組んでいる。
  10月に開催された第25回全国介護老人保健施設大会(岩手県)では、施設の取り組みの中からレクリエーションに関わる取り組みを発表した(私ではありませんが)。
  老健施設では週2回以上、レクリエーション活動の実施が義務づけられていて、介護スタッフ・リハビリスタッフを中心に計画し、毎週欠かさず実施している。音楽療法や月に1回の選択クラブ活動なども含めるとレクリエーションの開催頻度は高く、同じフロアのホールで開催されるデイケアのレクリエーションにも参加できることなども考えると、週末を除いてほぼ毎日、何らかの催しを展開している。
  レクリエーションには娯楽・余暇活動・気晴らしなどの意味も含まれるが、本来は再創造(Re Creation)を意味する。老健施設において再創造が求められるものは、疾病や障害、加齢によって表面化しづらくなった、利用者の「やりがい」「生きがい」「楽しみ」「その人らしさ」などが挙げられると思うが、実際のレクリエーション活動は内容がマンネリ化したり、利用者が参加意義を感じることができなかったり、再創造とはほど遠く一見すると所謂「ちぃちぃ、ぱっぱ」と称されるような幼稚な内容に思えたりするものもある。
  そのような現状を憂慮して組織化されたのが「アットホーム」と名付けられた施設独自の部会活動で、認知症ケア目標の設定や朝礼での復唱を提案するなど、最近注目を集める元気な朝礼ほどではないかも知れないが、施設の活気づくりや職員の意識改革に刺激を与え続けている。
  実はこの「アットホーム」の発起人や、今回の研究大会での発表者など、部会のキーマンには迫田病院から異動した職員が多い。当施設の協力医療機関であると同時に母体施設でもある迫田病院からの、人材支援や母体施設でのエデュケーションの活用や分配が、施設のさまざまな取り組みを支えていると言える。
  大会では、利用者や職員へのアンケート調査や評価スケールを活用して、数値化しにくいレクリエーションの有効性の評価を体系化させて、対象者のグループ分けなどに応用し、利用者の満足度や達成感、表情などに効果が表れ始めたことを報告した。

  施設では在宅復帰にも取り組んでいて、利用者の入退所が増え、平均入所期間も短縮化の傾向にある。一人の利用者と関わることができる期間が短くなっていく上で、効果的な介入を実現するためにも、今回発表したような取り組みを実績として蓄え、エビデンスに基づいたサービスの提供に努めていきたい。
  余談ではあるが、今回の研究大会の発表者は、同大会で開催された「地域別わんこそば大会」に九州ブロック代表として出場し、見事全国制覇を成し遂げた。その様子は、宮崎県老人保健施設協会のブログ(10月21日)にも実名写真入りで掲載されているので、ご参照いただきたい。