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いまからここから!!
〜離床時間の確保と職員の意識改革に向けた取り組み〜

発表者
介護福祉士 春田 泰志
【はじめに】
 当施設は、平成7年に開設された入所定員80名の介護老人保健施設である。
 今回他施設への実地研修に行き、日中の殆どを離床し、様々な活動に参加している利用者を目の当たりにした。離床する時間が長い事が本当に利用者にとっていい事なのかと疑問もあったが、当施設でも日中の利用者の過ごし方が以前からの課題であり、離床する事のメリットを考えた上で、今回初めて行なった取り組みについてここに報告する。

【目的】

・日中の離床時間の確保を行なうことで、利用者のADLの向上を目指す。
・この取り組みを行う事で、職員意識改革に繋げる。


【対象】

・入所利用者80名。
・看護職10名 介護職23名 計33名


【取り組み内容】

・実地研修の報告を行う。
・その中で離床時間確保のメリットについての自分の意見を述べた。
・その意見を基に、職員間で話し合い、方向性を検討。
・まずは、午前中の離床時間の確保を行う事に決定した。
・職員に離床時間を有効に使う為のアイデアや意見をもらい、推進メンバーを選抜した。
・推進メンバーを中心に、詳しい内容等の検討。
・離床している利用者に対し、何か活動をしてほしいという内容の決定。
・実際に行った結果、問題点が出てきた為、再度現状の内容を検討。
・問題点を改善した内容の決定。


【結果】

・離床についての色々な話し合いの中で、看護目線、介護目線からの意見を知ることができ、午前中に対応が行き届くとどく結果となった。
・推進メンバーが中心となり、アンケートを取った事で、何をするべきなのかという個々の考えが見えてきた。
・職員一人一人、意識して行っていたが、職員の負担を増やす結果となった。
・活動に対しての利用者のグループ分けを行い、職員2名で対応していた。見守り不十分などの問題点を改善する為、職員を2名から8名に増やすことで、見守りが出来る環境を作った。


【考察】

 目的を優先する余り、何かをする為に離床しないといけないという意識が強かった。その前に、優先的に離床できる環境作りを行うべきだったのではないかと考えた。
 離床したいという考えは、同じだったが、取り組みについての伝達が足りず、取り組み始めは目的が、何なのか戸惑う職員もおり、目的意識の統一が薄いのではないかと考えた。
 始めたばかりでまだ、結果という形としては残せていない。しかし、続ける事で、ADLの向上へと繋がるのではないかと考えた。


【まとめ】

 今回、離床時間の確保、職員の意識改革に向けた取り組みを行ってみた事で、短い期間の中で目指す目的のハードルが高すぎたと感じた。
 利用者の為に行っている事が、必ずしもプラスになるとは限らない。まだまだ、改善すべき点は残っているが、試行錯誤をする事で課題を解決する糸口を見つけられるのではないかと思う。
 今後も、職員一丸となって、この取り組みを続けていきたい。

みんなで奏でるハーモニー
〜MT・OT・PTの連携をいかして〜

発表者
◎音楽療法士  中武 紋子
【はじめに】

 当施設では、リハビリテーションの一環として、集団とグループに分けた音楽療法を実施している。心身の健康の回復・向上を図ることを目的としている。また余暇活動の充実と他者との交流の場となり、活動を通して生きる喜びや張り合いを持ち QOL の向上に繋がるよう、心と体が元気になる活動を提供している。
 現在まで音楽療法士がメインセラピスト ( 以下MT ) 、作業療法士がサブセラピスト(以下OT)としてグループ活動を連携して実施してきたが、今回その連携や専門性が活かされているか見直すため、リハビリ全スタッフで取り組んだ経過と結果を報告する。


【取り組み経過及び結果】

 第一期:前後に活動の流れや個人の評価をする時間を設けていなかった。その為、直前やその場で活動内容を伝えることになり、内容把握ができておらずスムーズな補助ができなかった。またOTからの評価に関しては著明に変化が見られた場合だけ簡略に行ない、その他はMTの視点からだけの評価を行なっていた。活動を共にしているが、それぞれの専門性を活かしきれていなかった。
 第二期:音楽療法について勉強会を実施した。(内容として高齢者の音楽療法の目標、活動内容の目標・効果・アプローチ方法、MTの評価表、サブセラピストの役割など。)
<問題点>
・活動内容を事前に把握していなかった。
・OTの専門性を活かした視点からの評価ができていない。
<改善点>
・プログラムの把握と利用者の評価の時間の確保。
・OTの専門性を活かした視点からの評価 ( 関節可動域、座位状態など ) を行なっていく。
 第三期:活動内容の把握と評価の時間を設けた。
・流れを把握できたことで補助しやすくなった。
・個人の状態を把握することで、次回に繋げることができるようになった。
・2人で評価することで、気付かなかった点を知ることができるようになった。
・グループや個別に合った方法を考えることができるようになった。
 この取り組みを開始した結果、お互いの専門性を活かした視点からの評価をすることで、利用者一人一人に合わせたアプローチができ、次回に繋げていくことができるようになった。またOTに各グループ担当を受け持ってもらい、MTとOTに共通した個別の目標を立てることができ、継続して評価できる体制が整った。
 リハビリ全スタッフの音楽療法に対する意識の向上に繋がり、各担当利用者の情報交換がこれまでより盛んになり、音楽療法への参加依頼が増えた。


【考察】

 これまでの経過を見直し、改善したことで、それぞれの専門性がこれまで以上に活かされ、連携が上手く機能しだした。それにより個別に合ったアプローチや目標が立ち、より反応を引き出すことができるようになったと考える。今後も継続し、更に発展・向上させるには、各グループや個別の目標の達成に向かってアプローチしていく必要があると考える。


【まとめ】

 今回の取り組みを通して、連携を図ることの重要性、その機能の活かし方を考えることができた。また他職種の専門性を活かしていくことで、活動をより充実させることができ、それが利用者に反映されていくことも身を持って実感した。音楽療法に理解を持ち、協力してくれる仲間に感謝しながら、今後更にお互いの専門性を発揮できるよう、そして利用者一人一人の生きがいを見つけられるよう、取り組んでいきたい。

 
    平成23年 3月宮崎県大会 ▲TOP
排泄ケア見直し隊、只今参上!!
〜快適な排泄環境を目指して、排泄委員会の取り組み〜
発表者
◎介護福祉士  丸尾 三奈子
【はじめに】
・当施設では、明るく・家庭的な雰囲気の施設作りを目指し、利用者の方へ日々の生活支援を提供している入所定員80名の介護老人保健施設である。
・年々、入所期間の長期化や重度者の受け入れ等により、個別ケアの重要性を再認識した。そこで、今回三大介護の一つでもある、排泄ケアに着目し、排泄セミナーに参加した。それをきっかけに、改めて個別性の排泄ケアを見直す必要があると考え、排泄委員会を発足し、終日オムツ使用者5名を対象に、個別の排泄ケアを取り組んだので、ここに報告する。

【実施内容】
1)排泄委員会の発足
<目的>
 @排泄ケアを行ううえで利用者の快適性・安全性の向上
 A職員の業務効率化
 B職員の排泄に関する考え方のスキルアップ
2)委員会を中心に勉強会を実施し、職員の排泄ケアへの意識の統一を図った。
3)5名の対象者へ個別のアセスメントを実施し、排泄ケアの見直しを行った。

【結果】

1)委員会を発足することで、改めて全職員の排泄に関しての意識が向上した。
2)アドバイザーによる勉強会を実施したことで、排泄ケアに対する考え方や基礎知識を再確認できたとともに、
  統一したケアが図れるようになった。
3)対象者へ個別のアセスメントを実施し、見直したことで、次のような排泄ケアの改善に繋がった。
<改善内容>
@オムツ交換回数と、時間帯の変更
A排泄チェック表及び記入方法の変更


【考察】

 今回、排泄委員会を発足し、排泄ケアの見 直しを取り組んだことで、今まで当然だと思っていたケアの方法を、もう一度見直すことができた。そのことで、職員一人一人が排泄ケアに関しての意識の向上やケアに関して現状をより良くしていこうという意見も積極的に聞かれるようになってきた。ケアの改善に取り組むことで、業務の効率化が図れ、ゆとりを持って利用者と接する機会が増えた。また、結果としてコスト削減に繋がった。


【今後の課題】

1)個別性に応じた排泄ケアの確立
2)排泄ケアに関して定期的に勉強会を開催し
全職員の知識の共有と質の向上
3)委員会体制の確立
4)早期発見による皮膚トラブルの防止
5)利用者を主体とした個別性排泄ケア   
6)他職種との連携


【 まとめ 】

・今回排泄ケアに対して、委員中心となり全職員でいろいろな取り組みをしてきたことで、個別でのケアがどれだけ大切であるかを改めて考えさせられた。
・又、ゆとりをもって利用者と接する機会が増えたことで、今までできなかったことや、ケアの提供で不十分な所等が全職員で取り組んでいけるのではないか。
・課題をひとつずつ解決していく為に、どのような取り組みをすれば良いかを全職員と考えて行きたい。
・地域住民や協力者の方々との連携もとりながら、様々なリスクに対応できるように、更に体制を強化して行きたい。
・排泄ケアに関してまだまだ改善すべき点は残っているが、三大介護の1つでもある排泄ケアを委員中心となって利用者主体の快適な排泄環境を目指し、ケアの視野を広げていけるよう今後も取り組んでいきたい。

 
    平成22年11月 全国大会(岡山) ▲TOP
気づけ危険のサインに!
〜リスクマネジメントへの歩み〜
発表者
◎介護福祉士  竹ノ内 健昭
【はじめに】
・当施設は居宅介護支援事業所と訪問リハビリテーション、認知症対応型共同生活介護を併設した入所 80 床、通所 40 名の介護老人保健施設である。
・介護老人保健施設における問題や課題が近年増加し、その内容やそれに関わるリスクも多種多様となってきております。そこで、リスクを、各専門職・委員会・全職員の連携で対応することを目的としたリスクマネジメント委員会を発足した。
・その取り組み及びその効果、今後の課題を報告する。

【委員会発足の目的】
・ 全職員に施設内外でのリスクを知ってもらい、日頃からリスクに関する意識を持ちながら広い視野で業務が行える。
・ 当施設で起こってきた様々な介護事故に対する防止への取り組みが、ケアプランへの連動、また業務改善に繋がっておらず、一つ一つの事故に対する取り組みが不充分であることへの解決。
・ 苦情・要望に対するスムーズな対応と解決を図れる体制の整備とコミュニケーション・解決能力の向上。
※上記の目的より、介護事故防止、身体拘束廃止、衛生管理、感染予防、褥瘡予防、個人情報保護、財務管理、防災、交通安全に対する委員会を作りその活動を通し、全職員の意識の向上を行っていく。

【 経過と実施内容 】
< 19 年度>
・組織化・組織図の作成
・各委員会のメンバーの選定
・リスクマネージャー養成研修会の参加
・研修計画の作成・実施
< 20 年度>
・リスクマネージャー資格取得
・リスクマネージャー養成研修会( 2 人目)への参加
・事故報告書・ひやりはっと報告書の書式の統一化・報告書のデータ化
・交通安全研修会の定期開催の開始
・玄関前にカメラを設置し、離設者予防
・ 安全パトロール実施への準備
・個人情報保護の研修への定期的な参加
・未集金者への定期面接と対応策の確認の実施
< 21 年度>
・リスクマネージャーが 2 名へ
・腰痛予防勉強会の実施
・危険予知トレーニング勉強会実施
・ヒヤリハットの重要性の研修会実施
・地域住民と防災関連の連携
・ケアプラン委員会の活動の活性化と連携の強化
・各部署スタッフ会議でのリスクに関する説明会と業務改善作業の実施
・安全パトロールの定期的な実施

【 今年度の課題 < 実施内容 > 】

・全員参加の定期勉強会 <2 回実施 >
・月1回の「安全パトロールの実施」と「不具合箇所の改善及び結果の掲示」 <4 回実施 >
・書式のデータ化と作成過程の簡素化  < 着手中 >
・ひやりはっとの集計結果の分析と対策の検討  < 着手中 >
・事故防止の啓発運動  < 適宜声掛実施 >
・保険者や関係機関、地域との連携の強化  < 検討中 >


【 まとめ 】

・リスクマネジメント委員会の活動を通して、今後取り組んで行かなければいけない新たな課題が見えて来た。
・「パトロール実施」や「他職種の会議への参加」を通して、リスクが広範に及ぶことやリスク予防の必要性を、改めて意識する事ができた。
・課題をひとつずつ解決していく為に、どのような取り組みをすれば良いかを全職員と考えて行きたい。
・地域住民や協力者の方々との連携もとりながら、様々なリスクに対応できるように、更に体制を強化して行きたい。
・リスクマネジメントには終わりがないことを充分に認識し、利用者にも職員にも安心安全な施設作りが出来るように取り組んで行きます。

 
    平成22年5月 九州大会 ▲TOP
どげんかせんといかん!!
〜在宅復帰を目指そうとしている家族へのアプローチ〜
発表者
◎介護福祉士  下村 勝利
【はじめに】





介護老人保健施設の役割の要は、在宅復帰であるが、実際に要介護者を抱えると、さまざまなストレスが生じ、家族の負担は想像以上に大きい。
今回は、「家に帰りたい。」と強く願う夫を受け入れようとしている妻の、精神的なサポートや介護技術の指導という取り組みを行ったことで在宅復帰への希望が見えてきた夫婦の事例を紹介する。

【事例紹介】
・氏  名: U氏  男性  71 歳 要介護度 3
・既往歴:脳出血 左片麻痺 高血圧 誤嚥性肺炎
・家  族:妻と二人暮し 息子は長崎在住

【経過】







平成20年11月に脳出血を発症する。その後、誤嚥性肺炎を併発した為、転院を繰り返し、リハビリ開始までに時間を要したことで、在宅復帰やリハビリに対する意欲低下を招いていた。
平成21年9月18日、在宅復帰に向けたリハビリ目的にて当施設へ入所される。
入所当初は要介護度4であり、両下肢の拘縮が強く、立位や座位保持も困難な状況であった。
まずは意欲向上を目指し、在宅復帰を目標としたリハビリを行うことで、徐々に身体機能も回復し、本人の希望でもあったトイレでの排泄が出来るようになった。それと同時に「家に帰りたい。」という願望が聞かれるようになる。しかし妻は、自分1人で要介護状態となった夫を自宅で介護する生活に不安を抱いていた。

【取り組み内容】













そこで、在宅復帰の障害や不安要素を明確にするため11月下旬に環境調査を行った。その結果、玄関の段差、狭いトイレや廊下等の住宅環境と言う問題が出てきたが、今回は無理な住宅改修を行わず、まずは介護に対して全く未経験で不安も大きい妻の為に、本人も交えたチームカンファレンスを行い、妻の中で一番の不安である移乗と排泄の介護技術の勉強会を行うこと、そして正月の試験外泊を行うことを提案した。
次に、試験外泊までのスケジュール表を作成し、12月上旬より週4回、約30分程度の時間を設け、妻の不安をなくす為、身長176cmの大柄な夫をスムーズに介助できる方法を女性職員が中心となり、OT協力のもと指導した。指導の細かい内容、妻の表情や反応なども記録に残し、励ましの声かけも常に心がけた。
夫は在宅でもトイレでの排泄を希望していたが、狭いトイレでの介助は困難であり、妻の負担を考え、初めての試験外泊は日中もオムツ対応を試みた。しかし、夫は外泊中もトイレへの執着が強く、妻のストレスを逆に増す結果となってしまった。
そこで、リハビリによって夫の座位と立位バランスが安定してきたこともあり、最終目標でもあったポータブルトイレの使用を検討し、1月中旬より外出も兼ねて自宅でのポータブルトイレ訓練を週2回30分のペースで行った。
はじめは、妻の負担を考えるとポータブルトイレの使用は難しいと思われていたが、勉強会の成果に加え、妻の頑張りもあり、1人で介助を行うことが出来るまでになった。
その後も、試験外泊を重ね、3月1日の退所が決定した。退所後は、デイケアやショートステイを利用しながら在宅介護という夫婦二人三脚での新しい生活をスタートさせる予定である。

【考察】



今回の取り組みで、介護に対する妻の不安を完全に取り除くことは出来なかったが、チームカンファレンスや介護技術の指導を通して職員との関わりが増えたことで「私は1人ではない」という安心感や「私にも出来る」という自信に繋がり、夫の在宅復帰に対して前向きになっていったのではないだろうか。

【まとめ】


在宅復帰を可能にするには、入所してから関わる専門職のアプローチはもちろん、本人の意思、そして、それを受け入れようとする家族のストレスや不安を解消する事が重要であると考える。
課題はまだまだ山積みであるが、私たちはこの夫婦をこれからも見守っていきたい。
 
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気づけ危険のサインに!
〜リスクマネジメントへの歩み〜

発表者
◎介護福祉士  竹ノ内 健昭
【はじめに】
・当施設は居宅介護支援事業所と訪問リハビリテーション、認知症対応型共同生活介護を併設した入所80床、通所40名の介護老人保健施設である。
・介護老人保健施設における問題や課題が近年増加し、その内容やそれに関わるリスクも多種多様となってきており様々な問題がある。
・リスクを各専門職や委員会の連携で対応すべくことを目的としリスクマネジメント委員会を発足した。その取り組みと経過及び今後の課題を報告する。

【委員会発足の目的】
@全職員に施設内外でのリスクを知ってもらい、日頃からリスクに関する意識を持ちながら広い視野で業務が行える。
A当施設で起こってきた様々な介護事故に対する防止への取り組みが、ケアプランへの連動、また業務改善に繋がっておらず、一つ一つの事故に対する取り組みが不充分であることへの解決。
B苦情・要望に対するスムーズな対応と解決を図れる体制の整備とコミュニケーション・解決能力の向上。

※上記の目的より、介護事故防止、身体拘束廃止、衛生管理、感染予防、褥瘡予防、個人情報保護、財務管理、防災、交通安全に対する委員会を作りその活動を通し、全職員の意識の向上を行っていく。

【経過と実施内容】
19 年度

・組織化・組織図の作成
・各委員会のメンバーの選定
・リスクマネージャー養成研修会の参加
・研修計画の作成・実施

20 年度

・リスクマネージャー資格取得
・リスクマネージャー養成研修会(2人目)への参加
・事故報告書・ひやりはっと報告書の書式の統一化・報告書のデータ化
・交通安全研修会の定期開催の開始
・玄関前にカメラを設置し、離設
・ 安全パトロール実施への準備
・個人情報保護の研修への定期的な参加
・未集金者への定期面接と対応策の確認の実施

21 年度

・リスクマネージャーが2名へ。
・腰痛予防勉強会の実施
・危険予知トレーニング勉強会実施
・ヒヤリハットの重要性の研修会実施
・地域住民と防災関連の連携
・ケアプラン委員会の活動の活性化と連携の強化
・各部署スタッフ会議でのリスクに関する説明会と業務改善作業の実施
・安全パトロールの定期的な実施


【今後の課題】

@全員が参加できる定期勉強会の計画
A月一回の安全パトロールの実施と効率的な解決策の検討(施設内に改善部分の掲示)
B書式のデータ化と作成過程の簡素化
Cひやりはっとの集計結果を基にした解決方法・手法の検討
D事故防止の啓発運動
E保険者や関係機関、地域との連携の強化


【まとめ】

・施設におけるリスクを各専門職や委員会の連携で対応をしていくことを目的としリスクマネジメント委員会を発足した事で、今後取り組んで行かなければいけない課題がより多く様々な分野で浮き彫りとなってきた。
・ひとつずつを早期に解決していく為にも、どのような取り組みをすればリスクの回避につながるかを全職員が常に考えながら日常業務を行えるようにして行きたい。
・リスクマネジメント委員会を中心に、全職員との協力・地域住民、関連する人達との関わり合いを多く持ち、様々なリスクに対応できる体制を強化して行きたい。
・リスクマネジメントには終わりはない。そのことを充分に認識し、そして改善し、利用者にとっても職員にとっても過ごしやすく、働きやすい施設作りが出来るように今後も取り組んで行きたい。

チームアプローチの視点から
〜在宅支援に向けた取り組み〜

発表者
◎支援相談員   中村 まり
【はじめに】

・介護老人保健施設が果たす役割に、在宅復帰と在宅生活支援があるが、今回在宅復帰に向けた取り組みの中で、専門性の高いチームアプローチの重要性を再認識することができたので、報告する。


【事例紹介】

・ 70 歳男性、要介護 3 、妻と二人暮し。 右脳出血、左片麻痺、高血圧、誤嚥性肺炎。 H20.11.28 脳出血発症、 A 脳外科医院入院。 12.16 胸部 CT にて胸水認め B 病院転院。 12.17 誤嚥性肺炎治療のため C 病院転院、抗生剤・ IVH にて改善し、 H22.1.14 リハビリ目的にて A 脳外科医院転院。誤嚥性肺炎予防のため気管切開術施行、同時に開始した経口訓練でセッティングにて常食摂取レベルまで改善。
・ 5.18 状態安定のため D 病院転院。
・ H21.9.18 生活動作を中心とした、在宅復帰に向けたリハビリ目的で当施設入所。
・入所時は要介護 4 、座位保持が困難で、車椅子から滑り落ちることもあった。脳出血発症後、誤嚥性肺炎を併発したために転院を繰り返し、リハビリ開始までに時間を要したことで、在宅復帰やリハビリに対する意欲低下を招いた。妻の意識も「できることなら連れて帰りたい」程度のもので、要介護状態となった夫を介護しながらの生活は困難だと考えていた。


【考  察】

・そこで、在宅復帰の障害や不安要素を明確にするために環境調査を行った。結果、主因を住環境の問題と介護への不安に絞り込むことができた。
・住環境の問題は、玄関の段差、狭い廊下、狭いトイレなど。また、歩道のない県道に面した家屋は隣家と密接しており、スロープを設置する場所がないなど、バリアが点在していた。
・今回は無理な住宅改修で家の持つ生活機能を低下させるよりも、外出の際にサービスを導入する事で住環境の問題を解消する事にした。
・未経験の介護に対して不安が大きい妻に、実際に必要な介護量を把握してもらうため、本人 妻を交えたチームカンファレンスで在宅生活のシミュレーションを行った。妻は自分より身長の高い夫を介護することが不安で、特に移乗と車椅子で玄関の段差を越えることの二点を心配していた。本人の希望がトイレでの排泄だったのに対し、妻は廊下の移動やトイレでの移乗介助は困難だと、おむつ内での排泄を希望した。当時、本人の座位バランスが不安定だったことと、妻の介護技術を考慮して、自宅ではおむつ内の排泄を提案したが、在宅復帰への本格的な話し合いが進むにつれ、リハビリに対する意欲が増し、座位バランスや移乗時の安定性も向上した。妻は面会のたびに介護技術を勉強し、二人は安全にポータブルトイレを使用できるようになった。
・介護に対する不安を完全に取り除く事は出来なかったが、在宅パスに沿って 3 月 1 日の退所が決定した。


【まとめ】

・在宅復帰の鍵は、利用者の身体機能云々よりも家族の都合にあると考えている。家族の都合は在宅生活への想いやその時の事情で変えることができる。今回の事例は、専門性を生かしたチームアプローチによって、事情を変え、都合をつけることに成功した事例だった。
・介護の交代がない 70 歳代の夫婦世帯。住環境の問題も含めて困難事例ではあったが、老健の機能をフルに活用することで乗り切った。そして今は夫婦で退所の日を待ち遠しく思っていてくれている。